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10月24日のタイ日食に参加しました。観測地はタイ東北部のへんぴな所でパトンシャイ( Pak Thong Chai)と言う地名です。皆既の持続時間は1分54秒でした。今回の日食では比較的長い方の観測地になります。ヒロシの休みがあまり取れないので3泊4日の短い旅でした。22日に関西国際空港からバンコクへ向かい1泊。翌日午前中にバンコクの市内観光を済ませ、一路バスにて観測地まで、揺られること8時間弱の移動。距離にすれば約250kmしかないのに道路事情が悪い上に、バスのエアコンが故障するし、窓は開かないので蒸し風呂状態になるわ、大変劣悪な環境でした。宿泊先はナコン・ラチャシマという比較的大きな町です。観測地はここからバスにて1時間弱移動します。特に見るべきものも、見るべき時間もなく、ここは宿泊したのみ。ホテルには一応エアコンがあったもののまるで壊れかけのしろもの。しかし後で聞いたところでは、このホテルにタイの王女も泊まっていたらしい。この町では一番のホテルだそうだ。ちょうど同じホテルに天文ガイドのツアー御一行様も宿泊しており、バスが6台程先に着いていた。ここまで来て日本の御一行に出くわすとは世界も狭い!
しかし、翌朝早く彼らは出発して別の場所へ移動。我々は予定通りに皆既帯の中心部へ向かう。郊外の簡単なロッジ風のホテルの庭で観測する。残念ながら雲一つない快晴とはいかず、少しばかり薄い雲が霞のようにもやっていたが、大事な時はほぼ快晴の状態で運良く晴れてくれた。日食では毎度のことながら、ダイヤモンドリングとコロナは見事な感動的出来事である。観測地の日本人は我々一行の40名だけで後は地元の観光客だけであった。彼らは装備はおろかカメラさえも持たずにサングラスだけで目視の観望である。ヒロシとヨーコの観測道具も貧弱だが、8mmビデオと望遠カメラ、小型双眼鏡のみ。皆既日食は3回目であるが、だんだんと慣れてきて準備不足が目立つ。まず減光フィルタの準備不足と露出計算の不足。最近は S田さんの得意とする電子暗室処理も出来ることだし、あとでゆっくり料理すればよいや、と漠然と構えていた。ところがトラブル発生。日本に帰って見ると、8mmビデオはピント合わせが甘いし、フィルタの重ね過ぎで多重像になるし、適正露光にならず縦線のノイズがはいる始末。カメラは望遠レンズの中で固定絞りのリングが外れてしまって、視野がケラレてしまうし、満足な結果はない。しかもコロナの撮影条件を変えたつもりが、シャッター速度をマニュアルにするのを忘れてオート露光にしたままだったから、見かけ上で同質のネガしか得られずまったく不本意な結果となった。おまけにDPE屋がネガを変なところでカットしてしまったから部分食は位置がずれてしまった。
でも大変にラッキーだったのは、3枚程度はまともな写真が撮れていた。それが第2接触と第3接触の両ダイヤモンドリングと皆既中のコロナだったということで、後でヨーコさんともめずに済んだ。この日食には、会社の人には内緒で出掛けたのだが、すぐに知れるところとなってしまった。 |